素朴屋株式会社
大橋佳寛さん(仮名・執行役員) 27歳
地方企業×グローバル視点─転職の先にたどり着いた、充実した生活と仕事のやりがい。
外資系商社での貿易関係業務を通じ、グローバルなビジネス経験を積んだ大橋さん。婚約者ゆかりの地である山梨県北杜市への移住を決意し、県内で転職先を探す中でリージョナルキャリア山梨に出会った。
最初はなかなかマッチする企業に巡り合えなかったものの、担当コンサルタントとの会話で素朴屋の存在を知り、その経営理念に強い魅力を感じた。「山梨から、日本の"職人技"を世界へ発信する仕事がしたい」と考え、運命的な出会いから素朴屋への入社を果たす。
現在は海外事業の責任者として、現地とのパイプづくりや新規事業開発に携わる。「好きな土地に住みながら自分自身の理想とする業務に携わり、毎日がとても充実している」と話す大橋さんに、Iターン転職体験談を伺った。
※本記事の内容は、2025年3月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 2回
- 活動期間
- エントリーから内定まで44日間
転職前
- 業種
- 商社
- 職種
- 取締役
- 業務内容
- 業務管理、業績管理、意思決定支援、リスク管理、外部交渉、戦略実行、部門間調整
転職後
- 業種
- 建築業
- 職種
- 執行役員
- 業務内容
- 業務管理、業績管理、意思決定支援、リスク管理、外部交渉、人材育成、戦略実行、部門間調整
「日本建築を世界へ」海外勤務経験を活かし、地方でのキャリアを開拓。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
素朴屋は、山梨県北杜市に本社をかまえ、日本の伝統建築を世界に発信する事業に取り組んでいます。私は執行役員COOとして、主にプロジェクトマネジメントやチームマネジメント、取引先との交渉、新規事業開発に携わっています。
国内外のクライアントとの関係構築をはじめ、海外事業の展開においては現地法人とのビジネスの接点づくりや資金調達も私の役目です。
入社前のご経歴を教えてください。
外資系商社で貿易関係の業務を担当していました。さまざまな国との取引や交渉経験を通じて広がった国際的な視野は、現在の業務で海外マーケットに入っていく際に大いに役立っています。
また、チーム運営やマネジメントも英語と日本語という使う言葉が違うだけで、やり方は似ている部分が多くあり、これまでの経験を活かせていると感じます。
転職のきっかけは?
転職先に山梨県を選んだのは、私のパートナーが「いつか山梨県北杜市に住みたい」と考えていたのがきっかけです。パートナーの祖父は北杜市に縁があり、そこでの生活に憧れがあったようです。
私自身も「都会を離れて自然豊かな場所で暮らせたら」という考えがあり、二人で関東から移住することを決めました。
前職の商社は日本に住みながら海外とのリモートワークで勤務しており、時差が大きくほとんど昼夜逆転の生活をしていたのも一つの理由です。体への負担やパートナーと生活リズムが合わないことなどもあり、ワークライフバランスを重視するために転職を意識し始めました。
転職活動はどのように進めましたか?
どうやって山梨県の仕事を探そうかと考えていたとき、リージョナルキャリア山梨(運営会社:株式会社エンリージョン)の存在を知り、担当コンサルタントの柳川さんと出会いました。柳川さんは私の海外勤務経験を活かそうと、いくつか外資系企業を紹介してくれました。
どこへ転職するか迷っている中で、あるとき柳川さんとの会話で「北杜市に『山梨から世界へ』という志のもとで木造建築を手がけ、日本国内だけでなく海外でも事業展開している会社があり、社長さんも面白い方なんです」という話題が出ました。
私はそれが非常に気になり、「その会社のことをもっと教えてください」とお願いして出会ったのが素朴屋でした。柳川さんはすぐ社長に連絡して、面接を設定してくれました。
自分で転職先を探していたら、きっと素朴屋にはたどり着かなかったので、地元企業をよく知る柳川さんだからこそつながったご縁だと感じています。
今の会社に決めたポイントは?
「日本建築を世界へ」という会社の理念に「それってどういうことなんだろう」とすごく心惹かれました。もともと私は海外で生まれ育ち、日本にルーツがあることから、日本の職人の技術には強い憧れがありました。
金継ぎ・陶芸・骨董・寿司などをはじめ、日本古来の職人の「わざ」には素晴らしいものがたくさんあると考えています。それは素朴屋の日本建築にも通じており、大工が手で感触を確かめながら木材を刻んでいくこと、地元・八ヶ岳の木材を中心に一般的には使われない捻れた木も使いこなし、その職人技を世界に広めるというビジョンに感銘を受けました。
そんな私の想いを面接で社長に伝えたところ、その場ですぐに採用したいと言ってくれました。その決断力や行動がとても迅速なところ、そして社長が語る言葉に誠意と情熱を感じ、私もこの会社でぜひチャレンジしてみたいと思いました。
社長はとても大きなビジョンを持っており、日本国内だけでなくアジアや中東も視野に入れたビジネス展開を考えています。地方の小さな工務店でそこまでビジョンが強い会社は多くないので、その点も魅力的でした。
自分の価値観にしっかり向き合えば、自然と「やりたい仕事」が見えてくる。
転職していかがですか?
素朴屋に入社してとても良かったと思っています。主体的に動くことでプロジェクトが形になる達成感がありますし、経営に近い視点で物事を考えることができるため視野も広がっています。
前職では貿易で何トンもの物資を輸出入する仕事に携わっており、扱う商品の単位が大きすぎて、自分で動かしている実感がありませんでした。しかし素朴屋の仕事では、一つ一つプロジェクトのプロセスや、チームワークで成し遂げていく充実感があり、お客さまの顔が見える仕事をしているという実感があります。
転職して良かったと思うことは?
私がやりたかった「日本の素晴らしい技術を世界に発信する仕事」に直結した業務をできているのが最も良かったと思う部分です。
また、八ヶ岳の自然素材を生かした建築に携われることや、地域社会と連携したプロジェクトを推進できることも、大きなやりがいにつながっています。
入社当初は総務・人事を中心とした業務を担当する予定でしたが、1ヶ月経った頃に海外事業を担当することになり、執行役員COOを拝命しました。入社してすぐに会社の運営体制に関する改善案やコスト削減を提案しており、立場や社歴にとらわれず社長へ意見を言える環境がありますし、評価体制も柔軟です。
素朴屋は社員一人ひとりの意見が反映されやすい風土で、社長も常に革新的で斬新なアイディアを取り入れています。そんな文化も私には非常に合っており、当社で働けて良かったと感じています。
困っていることや課題はありますか?
現在、北杜市に本社、他に東京・文京区根津、ベトナム・ハノイに拠点を構えていますが、今後は世界のより広い地域への進出を検討しています。
社長が持つ大きなビジョンを形にするために、執行役員としてより仕事の精度を高め、社長と同じスピード感を持ち続けたいと思っています。
生活面の変化はありましたか?
豊かな自然に囲まれて日々の暮らしを送ることができ、以前に比べてワークライフバランスが格段に充実したと感じています。仕事は多忙ですがパートナーと同じ生活リズムで過ごせますし、通勤も10分程度で済むので体への負担もなくなりました。
休日は近くの沢を歩いたり、登山をしたりして楽しんでいます。また北杜市は東京にも近く、車なら1時間半ほどで行けるので週末に都会を満喫することもできます。
空気が美味しく、富士山が毎日見られて、食べ物もとても美味しい。山梨での生活によって私もパートナーも心身ともに充実感が増したと思います。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職にあたっては、まず自分のやりたいことや価値観を明確にすることが大事です。焦らずにじっくりと探したうえで、自分自身のビジョンに合う会社を見つけられたら、それが一番良い転職活動になるでしょう。
また企業との面接の際は、相手があなたを面接しているだけでなく、あなた自身も会社を面接している自覚を持って臨むのが大切です。
面接官をよく見る、会社をよく知る。そのために自ら考えていろいろな質問をする。そうすることで本当にやりたい仕事が見えてきたり、その仕事に就くチャンスをつかみ取れるはずです。